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43年間ありがとう!~玉城少年自然の家(青少年の家)宿泊棟お別れ見学会~ 

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1980年5月1日の開所から43年間、のべ80万人余りの皆さんに利用いただいてきた、旧玉城少年自然の家宿泊棟のお別れ見学会を、9月23日に実施しました。
この建物は、子どもたちの自然体験をしっかりできる施設として、様々な工夫がされています。
なぜこのような施設にしたのか。
設計者や当時の県担当者の視点を意識しながら、建物をじっくり見学していただきました。
当日は、建築士6名、子ども3名含む24名が参加してくださいました。

今回は、参加者の思い出や感想、気づきも、次世代に伝えたいメッセージとしていただくこと、今日の様子も含めて、記録をまとめてアーカイブ化することなどを、企画担当の山崎からお伝えし、青少年の家のコンセプトなどについて、玉城青少年の家の田端所長から説明し、建築士の普久原朝充さんから、建築家目線での気づきをお話いただきました。

建築士の方々からは、「建物を歩くと居心地の良さを感じる。とてもやさしい設計をしている。」「プレイホールと中央広場の一体感をつくるため、屋根が一体構造として作られて入れすごい。」「半戸外空間をこれだけ贅沢に作ることができているのは、今は予算面などの制約があって難しい。」「人が集まったり、顔を合わせる仕掛けがあり、中心に人が向かうようになっている。」と、建物が自然を見せようとしている工夫、集まりやすい工夫、動きやすい工夫がされていることへのコメントがたくさんあがりました。
また、一般の皆さんは、「いやぁ~懐かしい。小学生と中学生2回しか利用していないのに、とっても楽しかったから、最後に見送りすることができて良かった。」「私が泊まった部屋はここだった。覚えてるんですね~。」「プレイホールでレクリエーションして盛り上がった。あの時は夜だったから、昼間に見るとこんなに海が印象的なんですね。」「屋上、横になって星空観察しました!」といった思い出が語られました。

設計されたのは、宮平設計事務所に勤めていた建築士の中村貴成さん。
残念ながら亡くなられているため、お会いして直接お話を伺う事はできませんでしたが、関係者から資料を提供いただいたりすることができました。
今後、関係者の方々から、中村さんについてもお話を伺っていきたいと思います。

参加された建築士の皆さんの話を伺っていて、この建物が、人の動きを中心に集めつつ、互いの姿が目に入るようになっている。自然体験に行きやすい複合的な動きに対応していて、自然を見せる、感じさせることにかなり重点を置いている。玉城城址や久高島、火ぬ神や集落跡など、地域の大切なものへの配慮をしながら、傾斜した土地を活かしていることなどが特徴的で、設計者、この設計を承認した沖縄県担当者の、自然体験で子ども達を育てるんだ!という強い思いがあることを知りました。

参加者の皆さんの思い出や建築士の方々の気づきをまとめて、運営する立場から振り返ると、この場所、玉城のこの土地で、ここでしかできない自然体験を重視した建物の構造と、これまでの指導員や先生が取り組んだプログラムに込めた思いが、子どもたちの胸に残る、楽しい思い出、経験になったのだと思いました。
ハード(建物)の価値を、ソフト(人とプログラム)がさらに高める。
私たちの役割の大きさを実感する場となりました。

ご参加いただきました皆さまのたくさんの言葉に包まれ、無事、お別れの場を執り行うことができました。

玉城少年自然の家宿泊棟。
43年間、多くの子ども達に、たくさんの思い出をありがとうございました。
建物に込められた、この場所でできる体験で、子どもの幸せな成長を支えるという意思を、新しい建物になっても、引き継げるよう、私たちも取り組んでいきます。

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