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沖縄大学「市民社会とボランティア」を受講された皆様へ 

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ご無沙汰しております。山崎です。

先日は、貴重な授業の1コマをいただき、また、とてもたくさんの質問や感想をいただき、ありがとうございました。
遅くなってしまいましたが、質問へのお返事を書きました。
少しでもお役に立てたら幸いです。

では、質問への回答です! 

Q:「児童館に何も勉強しないで来たのか?」という話、どんなことを勉強してボランティアに参加したら良いですか?また、児童館でのボランティアに参加する際、活動内容はどの様な感じですか?NGOではどのお様な仕事をしていました?

山:説明が乱暴でしたね!すいません。ボランティアは何も勉強せずに来てOKです!児童館では、まずは子ども達の遊びの世界にしっかり入り込んでください!簡単なようで、実は難しかったりしますよ…。
 沖大生とお話していると、福祉って何か、について調べたり、知識を持っていることは少ないなと感じます。その点は、実習などの段階になったら「もう少し勉強した方が良いんじゃない!?」と思ったりします。でも、心はとても素直で、「私は~」という、自分を主語にして、気持ちのこもった話をする子が多くて、応援したくなります。
 私は大学卒業後、環境学習や自然体験系の活動をするNPOを立ち上げ、失敗しました(笑)。ただ、NPO活動支援センターという所で働いて、多くの市民活動の皆さんと出会えたことは、本当に多くの学びになりました!YouTubeで『OCN 発見!地域のチカラ』と検索してみてください。NPOの現場に出会いに行っていた、15年ほど前の私がいくつか見つかると思います。

 

Q:児童館のことを知らない子どもや、家から出られない子どもに、どの様にアプローチするか知りたい。

山:周知の仕方は、リアルなら様々な手法がありますね!こども園や小学校に読み聞かせに行って顔と名前を覚えてもらう事も大切だと思います。若狭児童館の先生たちは、読み聞かせによく行き、行事にも顔を出しています。国場も、コロナ前は先生と手分けして授業参観行きましたし、今も授業に関わるようにしています。
 ただ、家から出られない子へのアプローチは限られています。コロナ禍、YouTubeの動画を挙げたり、児童館ブログでクイズを発信したりしましたが、果たして良かったか…。他の児童館は、手作り工作キットを配ったり、あの手この手で接点を持とうとしていました。
今の手段以外に何ができるか、私たちも考え続けています。

 

Q:児童館を続けていて、子ども達に対して嫌になったり、辞めたいと思ったことは?

山:毎日嫌になったりします(笑)。子どもから攻撃されたり、保護者からのクレームがあったり、いろんなことがありました。でも、辞めたいとは思ったことないですね!

 

Q:子どもと関わるうえで気を付けていること、障がい児をサポートするために大切にしていることはあるか。

山:私の価値観を押し付けない様に、先入観を持って関わらないように、とても気を付けています。また、「可哀そうだから助けてあげなきゃ」と思って行動すると、慰めてもらいたくて悲劇のキャラになろうとする場合があるので、助けるという意識は持たない様にしています。一人ひとりへの接し方は、その子の様子に合わせて変えますが、館長という役割を持った、一人の大人として関わるようにしています。先生の役割を演じると、子どもに信頼されないし、化けの皮をはがしにちょっかい出してきます(笑)。

 障がい児のサポートは、発達の凸凹であれば、その特性を踏まえてこの子と関わり、よく観察します。ですが、誰が発達の診断を持っているかなどの情報はないので、関わりから発達年齢を見立ててコミュニケーションを試行しています。

 

Q:児童館に来るけど人見知りでなかなか友達と遊べてない子どもとどう接するか。

山:結構いますよね。まず、一人でも安心して過ごせる環境づくりは意識しています。また、先生方も、その子が安心して先生と打ち解けられる関わり方をあの手この手で工夫し、仲良くなります。その子の好きそうな遊びが見つかれば、同じ遊びが好きな子も一緒に、ちょっとずつ遊ぶ機会をつくるようにしています。
 質問に、不登校になった子と会ったときにはいっぱいおしゃべりをしているということですが、素晴らしいじゃないですか。無理に励まさなくて良いと思います。一緒に時間を過ごして、その子が好きな事、得意なことなど気づいた事を伝えてみるのも良いかもしれない。経験者にアドバイスを求めるのも良いと思います。沖大からボランティアで来る学生さんでも、時々不登校経験者はいますから、以外と身近にいると思いますよ!

 

Q:地域の児童館にボランティアをしたいのですが、ボランティアできる児童館は限定されているのですか?

山:1度しか行かないのはただの見学。何度か足を運ぶのがボランティアと思ってもらえたらいいと思います。何かある時に手伝ってくれない?と声かけても良いボランティアの学生さんは、多くの児童館が求めていると思います。今回紹介したのは、私の声掛けができる範囲の児童館なので、お近くの児童館にも尋ねてみてください!ただ、市町村によっては、ボランティア受け入れに課長の許可が必要だったりして、急なボランティアを受け入れるのは難しい所もあるようです。

 

 

 

Q:児童館と児童福祉施設とは果たすべき役割にどんな違いがある?子どものやりたい事に寄り添う時、大切にしていることを知りたい。

山:児童福祉施設には、児童相談所や児童養護施設などがありますが、児童館よりも、支援が具体的なものが多いですね。どう違うのか、ぜひ調べてみてください。やりたい事に寄り添う時は、決めつけのジャッジはしないように気を付けています。まずは見守ることからですかね!

 

Q:ボランティアをすることに対して達成感ややりがいを感じるが、山崎さんは?今後の目標やしたいことは?

山:ボランティアは、主体的に参加できただけで達成感がありますね!というか、仕事も主体的に行動しないと稼げないし、PTA・子ども会、県の〇〇委員なども自分が主体的に参加しているので、ボランティアだらけでよくわからなくなってきました(笑)

今後の目標ですが、大きい目標では、子どもの権利条例の制定を実現し、子どもを縛る根拠不明な校則や社会のルールを無くしたい。仕事としては、子ども達と写真集を作ったり、児童館の日常を映像作品にできたらいいですね。あと、知的障がいがある私の娘が公共交通を使いやすくなるアプリを開発したいと思っています。

 

Q:兄弟だけの世帯の話。まだ18歳以上の子に兄弟を見せて他の対応はしていないのですか?

山:他市町村の件なので詳細はわかりませんが、18歳以上の兄弟が保護者の扱いになっていて、地域の支援者が見守っている状況なので、放置はしていないです。ただ、皆さんと同じ歳で、「あなたが保護者です。」と言われてもねぇ…。どう思います?福祉はもっと、温かいものでありたいですね。

 

Q:児童館と学童で、子どもの様子(遊び方)に違いがあるか気になりました。学童保育と児童館の違いが知りたい。

山:放課後児童クラブは、働く家庭の小1~6年生を、有料で預かる事業です。児童館は、0歳~18歳までの子どもが自由に利用でき、子育てする親御さんの支援も行う事業です。児童館は無料ですが、児童クラブは月謝が発生します。児童館は打もが利用できるけど、児童館は誰もが利用できるけど、児童クラブは働く保護者の子どもが利用の条件。児童館は自由に出入りができますが、児童クラブは預かる場所なので、保護者が迎えに来るのが基本。という所が大きく違いますね。

児童クラブは小1~3年が利用者の中心だと思いますが、児童館は小3から小6が多いので、遊び方はちょっとパワフルかもしれませんね。ただ、遊び方はそこまで大きくは変わらないです。あと、中高生との遊びや関わりもあるので、バリエーションは広いですね。

 

 

Q:だいたい平日子どもは何人くらい来る?どの時間帯に来る子が多い?

山:今は小学生が25名くらい、中高生が5名くらいですね。コロナ前はその倍でした。基本的に放課後の時間に来るので、午後3時過ぎから5時頃が多いですね。

 

Q:児童館での今後の課題は?

山:課題ありすぎて…。最重要な課題は、人件費が足りず、若手人材を雇って育てられないことによる児童厚生員の高齢化ですね…。

 

Q:職員数、配置は?

山:国場児童館は常勤職員3名、パート児童厚生員3名、子育て支援担当1名の7名です。

また、基本的には、午前2名、午後3名~4名で運営しています。

 

Q:中高生の利用は多いですか?

山:一時期より減りましたが、中学生はちょこちょこ来ますね。小学生の時にしっかり関わっていると、中高生になって悩みや心配事があると顔を出してくれます。児童館の全国調査を分析し、中高生利用者の全国平均値と沖縄の児童館を比較したところ、沖縄の児童館の平均値が高く、中高生の利用が多い事がわかりました。

 

Q:自分には特技がなく、子ども達に教えたり見せたりできるものがない。これは子ども受けが良いぞ~っていうものはあるか?

山:子ども受けするものは色々ありますが、一番は、『子どもと一緒になって、チャレンジしたり失敗したりする、そんな関わりができる事』です。大人が全力で走っただけで、子どもからしたらアスリートです。失敗したり、ダサい所も見せてくれる、うまくいったら一緒に喜べる。それが一番ですよ。そして、子どもと関わっていたら、あなたの人より上手なこと、大好きなことが見つかると思います。

 

Q:児童厚生員にも負担があると思うが、どの様に、誰に悩みを解消して精神を整えているのか。

山:支援者への支援は、本当に大切です。仕事の後、職員同士で愚痴ったり話し合う、同じような支援者と相談しあうことで、精神を整えている感じです。あと、学びや研修が助けになる事も大きいですし、趣味の時間(私はジョギングです)も大切ですね。

 

Q:家に一人でいるような子どもが、児童館の存在を知る手段はあるのか。

山:全ての市町村にない施設なので、あまり知られていないんです。親に知られていなければ、全ての子どもには伝わらない。なので、2年生のまち探検の授業で児童館を訪ねてもらうようにしています。また、低学年の人権の授業に関わることができるように、今も指導案作りと学校とのコミュニケーションを続けています。学校は、ほとんどの子どもと出会うことが出来ますからね。

 

Q:コロナ禍で、子どもも参加できるイベントなどは何かありましたか?

山:人が集まる機会が作りづらい状況だったので、大きなイベントはこのライトアップイベントくらいでした。ニラが育ったらヒラヤーチー作りをしたり、母の日や父の日、敬老の日のプレゼントづくりなど、小さな行事は継続して行ってきましたが、難しかったですね。

 

Q:困っている人にアドバイスをする際に気を付けている事は何ですか?また、児童館の先生をやっていて良かったことや学んだ事はありますか?

山:アドバイスの前に、何に困っているのか、何を必要としているのか、本当に解決したいと思っているのかを、丁寧に傾聴しながら整理して、本人が必要としている事を明確にすることですかね。思い込みでアドバイスすると良い事はなく、傷つけてしまう場合があります。

また、児童館の先生をしていて、人の成長をずっと見守ることができることは幸せですね。里帰りの度に顔を出してくれる20代とか、その顔をみることができて、本当に嬉しいです。学ぶことは沢山あります。『子どもは社会を映す鏡』という意味を、子ども達から学びました。

 

Q:子どもたちに楽しんでもらうために意識していることは?子どもたちがケンカした時の対処法は?

山:楽しんでもらうために、先生たちはいつでも声掛けやすい姿勢を意識してると思います。あと、「関心を持ってるよ」と感じられる目配り。それと挨拶ですかね!新しい遊びを提案できる関係になるために、見守られていると感じられ、話しやすい雰囲気づくりは大切だと思います。

ケンカした時は、互いにどんな理由があるのか、どんな気持ちなのかを丁寧に訊くようにしています。誤解や悲しみなど、いろんな事が含まれていますからね。おかしい点は伝えますが、無理に仲直りをさせる事はしません。

 

Q:ファッションが好きなのですが、子ども達に服の良さを熱弁するのもアリですか?

山:例えば、芸能人の話をしながら、「あの人のあのファッション好きなんだよね!」といった感じで、自分の好きな事をキーワードにしながら、相手の好きな物やおしゃれへの関心を引き出し、語れる場を作ることは良いと思いますよ!

 

Q:ボランティアは具体的にどの様な事をするのですか?子どもたちの親や地域の人たちとの関りはありますか?

山:普段の児童館でボランティアをする場合は、子ども達との遊びを通した関わりが基本です。行事等のボランティアであれば、それぞれの行事で役割があったりします。ボランティアさんが親や地域の人と関わる事は、日常の場面では少ないですが、行事などではありますよ!

 

Q:なかなか自分の気持ちを出しずらい、しゃべってくれない子ども達には、どうやって接していますか?

A:う~ん。私はまず「こんにちは!」からですね。喋りかけて→離れて、を繰り返しながらちょっとずつ距離を詰めたり、目の前でパズルのピースが揃ってるか確認したり、バラバラになった将棋の駒を1セットごとに揃え始めたりして、こっちに興味が向いたら、「やってみる?」と声をかけてみたり。そんな感じを、相手の好きそうなものを見ながらやりますかね!感情をあまり表現しない子でも、感情は出てますから、なんとなくそれを見つける感じです。他の職員も、それぞれの関わり方で、距離を近づけていっているように感じます。

 

Q:子どもたちが来やすい雰囲気づくり、工夫などはどの様なものか。

A:改めて質問されると難しいですね。先生たちがピリピリしてない。気軽に話しかけてくる。ヒマそう(笑)。子どもは空気を読むので、職員がウェルカムな気持ちでいることが、雰囲気として大事な要素だと思います。

 

Q:小学生との遊び方がわからなくてもボランティアに来て大丈夫ですか?

A:あなたの経験にもあるように、宿題を見守ってあげるというのも良いと思いますよ。遊び方がわからなかったら、子どもに教えてもらえば、子どもは人に教えるという経験ができます。あなたにも、わからなかったことが解るという経験が得られますね!

 

Q:子どもたちの中には親と仲が悪い、親がいないといった子もいると思うが、その情報はどうやって聞き出すのか。

A:申し込みの際の登録届けでなんとなく知ることもできますが、親との関係性などは、一緒に遊んでいて色々おしゃべりしていると「あのね」と話してくれることがあります。あと、「〇〇が最近ちょっと元気ないor荒れてるな。」と職員で話題に上がる時には、だいたい家で何かありますね。友達が「最近あいつさ~」と教えてくれることもあります。

 

多くの質問ありがとうございました!

一つだけ、勘違いをさせてしまった点を訂正させてください。

私がお話したことは、私と職員が対応している様子を含めて、職員と話し合っている日々をまとめた内容で、私が素晴らしいわけでも、観察力がすごい訳でもありません。職員一人一人の気づく点が違うからカバーできる範囲が広がるんですね。職員と話し合って共有し、子どもの気持ちを大事にして運営しながら気づいた事を、言語化するのが私の仕事だと思っています。

皆さんの人生が、多くの人の関わりの中で、豊かで幸せなものになりますように!

国場児童館
山崎 新

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